
「IRミーティングって何を話しているの?」
個人投資家の方の多くは、IRミーティング(IR取材・IR面談と表記される場合もあります)の存在は知っているけど、どんなことが話されているかまでは知らない。あるいは、「もしかしたら、インサイダー情報を聞くミーティングなのでは?」と思われている方も中にはいるかもしれません。そこで、今回のコラムでは『機関投資家はIRミーティングで企業といったい何を話しているのか』
年間400社以上もの企業とIRミーティングを実施しているfundnoteIPOクロスオーバーファンド(愛称:匠のファンド あけぼの)の運用担当者である川合直也にインタビューをしました。
最後には、「個人が機関に勝つオススメ情報収集術とは?」という個人投資家の方が気になる質問まで突っ込んでお話を聞きましたので、ぜひ最後まで目を通していただければ幸いです。

川合の運用する匠のファンド あけぼのはこちら⇩
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Q1 IRミーティングって何が目的?
川合:投資家ごと色んなスタイルがあると思いますが、僕は”業績予想を正確にする”ことが目的です。
もう少し具体的に言うと、その会社の業績に与える色々な要因をヒアリングしていき、それぞれの要素がどう変化していっているかを知りたいと思っています。沢山の材料や会社の意向を1つ1つ聞いていくことで、自分が業績予想をするための素材を集めているといった感じです。
―企業側は何を目的にIRミーティングを設けているのですか?
川合:企業としては、IRミーティングを通じて株価を上げたいのはもちろんのこと、株価のボラティリティを下げたいという意向もあると思います。なので企業からすると、業績のポジティブサプライズもネガティブサプライズもあまり無い方が嬉しいです。そのため、自社について正しく理解した人に株価を付けてもらいたいわけです。逆に言うと、会社のことを分かっていない人がトレードしている状態は好ましくない。だから、会社のことを評価する材料を与えて、機関投資家が正しく自社を評価してくれるように仕向けています。
Q2 個人投資家はIRミーティングできないの?
川合:いえ、最近は個人投資家でもIR取材をする人が増えていると思います。IR部署に電話をしたら応えてくれるので、個人投資家だからできないということはないです。
翻すと、IRミーティングができるということ自体が、機関投資家の優位性になっていることはないですね。ただし現実問題として、専業のトレーダーでもない限りは平日の昼間にミーティングを実施するのが難しいというのはあると思います。
個人的には、機関投資家であっても個人投資家であっても、同じ質問をする権利はあるべきで、機会の平等は保たれるべきだと思っていますし、企業もそれに誠実に応えるべきだと思っています。
Q3 IRミーティングは何を話しているの?
川合:定量的な数字のことを沢山聞いていく人もいますが、僕は定量4割・定性6割で質問していますね。内容は「売上の内訳」や「四半期コストの内訳」など、開示資料に沿って細かいことを聞きます。
企業も資料に載せられることは限られているので、IRミーティングでは細かい数字までは非開示なことも多いですが口頭で「こういう商品の売り上げが多いです」など投資の材料を提供してくれます。
―もう少し具体的に知りたいです!よくする質問とかはありますか?
川合:僕の場合は、上場5年以内の銘柄が主な投資先になるので、IPOから日の浅いような会社であれば、その会社が今後も継続して本当に伸びていくかどうかって分からないです。もちろん、過去3年はすごく伸びた状態でIPOしてきますが、それが向こう5年続くかどうか知りたいので「この3年間なんで伸びたのか」「今この会社がなんでシェアをとっているのか」を色々な角度から質問することによって解き明かしていきます。
・「競合はどこのなのか」
・「その競合に対してうちはどれぐらいの速度で伸びていてそれは何故か」
・「安いのかあるいはプロダクトが良いのか」
・「なぜ他社ができないのか」
・「なぜ他社は伸びていないのに、うちは伸びるのか」
こういう質問を聞きます。
必ずその会社やプロダクトの”良さ”が説明されるはずなので、それを1つ1つ聞いていって、そのロジックが正しいかどうか、あるいは嘘がないかどうかを細かく見ていく感じです。
―川合さんはIRミーティングをどれくらいの時間で行っていますか?
川合:年間400社IRミーティングしていて、1社平均1時間ぐらいです。ただ、よく知っている会社や変化点だけを聞きたい会社については40分ぐらいで終わります。一方で40分を予定していても、自分の知らなかったことがでてくると、深ぼりする時間が欲しいので1時間に伸びることもありますね。
最近は機関投資家でも、より短時間になっている傾向があって、30分の取材を1日10件、年間2000社する人もいます。こういう人たちは定量的な数字の質問を沢山して、効率的に情報を集めている印象です。短期志向の人ほど、短時間で定量的な質問をする傾向があります。
僕はもう少し定性的な話とか、その会社が本当に中長期で伸びるかどうか確認したいので比較的長い時間をかけてIRミーティングをしています。
Q4 企業から回答を引き出す質問のコツは?
川合:自分がある程度その会社について調べていることをアピールすることがコツです。どんなコミュニケーションでもそうだと思いますが、相手の理解度がどれくらいなのかを前提に喋ると思います。まず、自分の知識度を喋るなどして、理解度の前提をそろえる「ここまでは理解がついてこられているな」⇨「次のことを話しても大丈夫そうだな」というような感じです。IRミーティングに限った話というよりもコミュニケーションど真ん中になりますが、それがすごく大事で、僕はかなり意識しています。
「今ここまで理解が追い付いています」
「これは分かるけど、これは分からない」
を明確にすることによって、何を話して欲しいのかを擦り合わせる。
これがかなりのテクニックで、質問のコツになります。
Q5 定性情報の信憑性は?
「最終的にIRミーティングを投資判断にどう活かすの?」
―中には自社のことを良く見せようと話すIR担当者もいるのでは?
川合:数字の裏付けがないコメントは信じないことが多いです。
「うちの会社めっちゃいいです、競争力があります」と言っているということは、やはり利益率が高いはずです。それが数字に表れていないとき矛盾が生じて嘘が分かります。
一番よくあるのは、「うちは○○をワンストップで提供できる」と謳っているものの、その売り上げがゼロのケースですね。最終的には数字に出ます。
他にも「この商品が伸びてます!だから全社の売り上げが〇〇%伸びました!」と言われたときには、本当にそうなのか聞いていき「確かに伸びているけど、この3ヵ月だけの一過性のものではない?」というネガティブチェックをひたすらしていきます。これによって騙されないことが多いです。
―最終的にIRミーティングを投資判断にどう活かすの?
川合:最終的には業績予想を正確にするための素材集めの一環です。
そのため、株を持っているほぼ全ての会社とIRミーティングをしています。一部、IRミーティングをする前に株を買うこともありますが、その際は買った時の理由が正しいかどうかを検証する場として利用しています。
Q6 エンゲージメントファンドって何するの?
―川合さんの運用するfundnoteIPOクロスオーバーファンド(匠のファンド あけぼの)は、一部エンゲージメント的な役割も果たすとお聞きしましたが、具体的にはどのようなことをされていますか?
川合:エンゲージメントファンドというほど積極的に関与するわけではないですが、IPOしたばかりの会社は投資家とのコミュニケーション慣れていません、なので「投資家がどういう情報を欲しているか」や「どういうことを投資家が理解していて、反対に理解していないか」の解像度が低いです。
そこで、IPOした会社とIRミーティングを実施した際に「僕も投資家としてこういうところに注目しています、なのでこういう情報を開示した方がいいと思います」や「この事業を伸ばした方が株価にはプラスになります」というような話をして、会社のその後のIR活動に活かしてもらうようにしています。
Q7 個人が機関に勝つオススメ情報収集術とは?
―このnoteを見てくれている個人投資家の方も多いかと思います。
頻繁なIRミーティングができなくても、情報収集で個人投資家が機関投資家に勝つ方法ってありますか?
川合:機関投資家の運用者は見ている会社数が圧倒的に多いです。毎日フルタイムでマーケットと対峙していますし、毎決算500社調べ、年間400社とIRミーティングを重ねています。その全てで、個人投資家が勝とうとするのは不可能に近いと思います。
一方で逆に言えば、”運用者は一社一社にかける時間が制限”されています。なので細かいニッチな業界に深ぼってリサーチしていく、この手法は個人投資家の方がやりやすいと思います。そういう深堀リサーチをしていくと、その事象に関しては機関投資家よりも詳しい情報・状況を作ることができると思うのでオススメです。
ニッチなところに絞って集中的にリサーチしていけば、それは機関投資家にも勝ちうるだろうなと思います。
川合の運用する匠のファンド あけぼのはこちら⇩
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会社概要
会社名: fundnote株式会社
設立: 2021年8月
代表取締役社長: 渡辺克真
資本金: 140百万円
事業内容: ・投資運用業・第二種金融商品取引業
・適格機関投資家等特例業務
・関東財務局(金商)第3413号
・一般社団法人 投資信託協会 加入
金商法に基づく表示等はこちらhttps://www.fundnote.co.jp/risk/